建築士になるには

高校生から建築士になるには?大学・学部選びと最短ルートを現役建築士が解説【2026年最新】

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「将来は建築士になりたい!でも、何を勉強すればいい?」「文系・理系、どっちに進むべき?」と悩んでいませんか。

高校生の今から建築士を目指すなら、進路選択がとても大切です。大学選びを間違えると、卒業しても建築士の受験資格が取れない…なんてことにもなりかねません。

この記事では、現役の一級建築士である私が、これから建築士を目指す高校生に向けて以下の内容を解説します。

  • 建築士になるための高校生からの最短ルート
  • 文系・理系どちらを選ぶべきか?
  • 建築学科のある大学の選び方(偏差値・合格者数ランキング)
  • 大学・短大・専門学校・工業高校それぞれのメリット・デメリット
  • 建築士に求められる適性と、今からできる準備

進路選択は人生の大きな分岐点です。後悔しない選択ができるよう、ぜひ最後まで読んでみてください。

高校生から建築士になる最短ルート

高校生から建築士を目指す場合、4年制大学の建築学科に進学するのが王道で、しかも最短ルートになります。

2020年法改正で最短取得が現実的に

以前は「大学卒業 → 実務経験2年 → 一級建築士受験」という流れでしたが、2020年の建築士法改正により大学卒業後すぐに一級建築士試験を受験できるようになりました。

つまり、高校生のあなたが今から大学に進学した場合、最速で以下のスケジュールになります。

  1. 18歳:建築系大学に入学
  2. 22歳:大学卒業 → すぐに一級建築士試験受験
  3. 22~24歳:一級建築士試験合格
  4. 24~25歳:実務経験2年で一級建築士登録

実際、令和6年度の一級建築士試験合格者の平均年齢は29.0歳と過去最年少クラス。20代で一級建築士になる人が年々増えています。

高校生から建築士を目指す3つの選択肢

大学進学以外にも選択肢はあります。それぞれの特徴を比較しましょう。

進路 期間 取得できる資格 こんな人におすすめ
4年制大学(建築学科) 4年 一級・二級・木造建築士の受験資格 大手ゼネコン・組織設計事務所を目指す人
短期大学・高専 2~5年 一級・二級・木造建築士の受験資格 早く実務に出たい人
専門学校(2~4年) 2~4年 二級・木造建築士の受験資格(4年制なら一級も) 実技重視で学びたい人
工業高校建築科 → 就職 3年+実務 卒業後すぐ二級受験可能(実務経験で登録) 家庭の経済事情で大学進学が難しい人

※2026年現在の制度に基づく情報です。詳細は建築技術教育普及センターでご確認ください。

文系と理系、どっちを選ぶべき?

建築学科を目指す高校生から最も多く受ける質問が「文系と理系、どっちに進めばいい?」というもの。

結論:理系のほうが圧倒的に有利

結論から言うと、建築士を目指すなら理系を選ぶのが正解です。理由は次の通りです。

  • 多くの建築学科は理系学部(工学部・理工学部)に設置されている
  • 入試で数学Ⅲ・物理が必要になる大学が多い
  • 大学入学後の構造力学・建築設備の授業で数学・物理の知識が必須
  • 建築の構造計算は理系思考そのもの

文系からでも建築士は目指せる

とはいえ、文系から建築士になる道も完全に閉ざされているわけではありません。次のような選択肢があります。

  • 建築学部のうち、文系受験が可能な大学を選ぶ(芸術系大学の建築学科など)
  • 大学では別の学部に進み、卒業後に建築の専門学校に入学
  • 建築系の通信制大学に入学(社会人になってからでもOK)

ただし、文系から建築学科に進学した場合、構造力学などの理系科目で苦労する可能性が高いです。「数学・物理が好き」あるいは「苦手だけど克服したい」という意欲がない場合は、別の進路を考えた方が幸せかもしれません。

高校で重視すべき科目

建築士を目指す高校生が特に力を入れるべき科目は次の通りです。

  • 数学:構造力学・建築計画で必須。数学Ⅲまでしっかり学ぶ
  • 物理:力学・熱・光の知識は建築設備で活かす
  • 美術:デザイン感覚を磨く。スケッチ力は実務でも武器になる
  • 英語:海外建築家の作品研究や、グローバルな仕事につながる
  • 国語:意外に重要。施主や行政との文書作成・交渉に活きる

「数学が苦手だから建築は無理…」と諦める必要はありません。私の周りにも、高校時代は数学が得意でなかったけれど、建築の楽しさで克服した人はたくさんいます。

建築学科のある大学の選び方

建築学科のある大学は全国に100校以上あります。どこを選ぶかで、その後のキャリアが大きく変わるので慎重に選びましょう。

選び方のポイント①一級建築士合格者数の実績

大学の建築教育の質を測る最もわかりやすい指標が、一級建築士試験の合格者数です。令和6年度(2024年度)の一級建築士試験合格者数の上位大学は以下の通りです。

順位 大学名 合格者数(2024年度)
1位 日本大学 142人
2位 東京理科大学 103人
3位 芝浦工業大学 82人
4位 早稲田大学 72人
5位 近畿大学 60人
6位 明治大学 54人
7位 千葉大学 48人
8位 名古屋工業大学 45人
9位 法政大学 43人
10位 工学院大学 40人

※建築技術教育普及センター発表データを基に作成。「学歴」を受験資格として申し込んだ者のみの人数です。

日本大学・東京理科大学はここ数年連続でトップ2を維持していて、「建築の二大名門私大」と言われています。

選び方のポイント②偏差値と入試科目

偏差値の目安は次の通りです(2026年河合塾基準)。

国公立大学(偏差値が高い順)

  • 京都大学 工学部 建築学科:69
  • 神戸大学 工学部 建築学科:68
  • 東京科学大学(旧東京工業大学):67
  • 大阪公立大学・横浜国立大学:67
  • 北海道大学・東北大学:66前後
  • 千葉大学・名古屋工業大学:62~65

私立大学(偏差値が高い順)

  • 早稲田大学 創造理工学部 建築学科:67
  • 慶應義塾大学 理工学部:65~69(建築学科はないが関連学科あり)
  • 東京理科大学:60~62
  • 明治大学・芝浦工業大学・法政大学:55~62
  • 日本大学・近畿大学・工学院大学:50~57

※偏差値は学部・学科・入試方式により変動します。最新情報は各大学公式サイトでご確認ください。

選び方のポイント③学べる内容の特色

大学によって建築教育の特色は大きく違います。自分の興味に合った大学を選びましょう。

  • 意匠設計重視(デザイン系):早稲田、東京藝大、京都芸大、京都工繊、武蔵野美大、多摩美など
  • 構造・工学重視:京都大、東京科学大、東京理科大、芝浦工大、名古屋工大など
  • 住宅・住空間重視:日本女子大、京都女子大、神戸女学院など
  • 歴史・保存重視:早稲田、東京理科大、東京藝大など
  • 環境・サステナブル重視:横浜国立大、千葉大、東京都市大など

選び方のポイント④指定科目を確実に履修できるか

建築士の受験資格を得るには、国土交通大臣指定の「指定科目」を所定の単位数履修して卒業する必要があります。

大学のホームページや募集要項に「建築士受験資格(一級・二級)取得可能」と明記されているか必ず確認してください。建築学科でも、選択科目の組み方によっては受験資格が得られない場合があるので要注意です。

大学・短大・専門学校・工業高校の選び方

4年制大学以外にも建築士を目指す道はあります。それぞれのメリット・デメリットを整理しました。

4年制大学(建築学科)|王道ルート

メリット

  • 大手ゼネコン・組織設計事務所への就職に圧倒的に有利
  • 建築の理論と実技をバランスよく学べる
  • 大学院進学で研究職や設計の専門性を高められる
  • 大卒の学位が得られる(将来の選択肢が広がる)

デメリット

  • 学費が高い(私立で4年間500~800万円が目安)
  • 社会に出るまで時間がかかる

短期大学・高等専門学校(高専)|早期取得ルート

メリット

  • 2~5年で卒業でき、早く社会に出られる
  • 高専は実践的な工学教育で就職に強い
  • 大学編入の道もある

デメリット

  • 大手企業への就職は4年制大学卒に比べると不利
  • 建築学を学べる短大・高専が少ない

専門学校|実技重視ルート

メリット

  • 2年で卒業し、20歳で二級建築士受験可能
  • 製図・CADなど実技授業が手厚い
  • 就職サポートが充実

デメリット

  • 大卒の学位が得られない
  • 大手企業の採用枠が限られる場合がある
  • 学費は2年で200~300万円(意外と高い)

工業高校建築科 → 就職|学費を抑えるルート

メリット

  • 高校卒業時点で建築の基礎が身についている
  • 卒業後すぐに二級建築士受験資格を得られる(指定科目修了の場合)
  • 大学進学費用がかからない

デメリット

  • 一級建築士を目指す場合、二級取得後さらに4年の実務が必要
  • 大手企業の設計職への就職は厳しい
  • 働きながらの一級建築士試験勉強は大変

家庭の経済状況や、自分のやりたい仕事内容に応じて選びましょう。「とにかく早く現場で働きたい」なら工業高校・専門学校、「設計事務所で建築家として働きたい」なら4年制大学が向いています。

建築士に向いている人・向いていない人

建築士は専門性の高い仕事なので、向き不向きがはっきり出ます。進路を決める前に、自分が建築士に向いているかチェックしてみてください。

建築士に向いている人の特徴

  • ものづくりが好きで、長期間かけて作り上げることを楽しめる
  • 絵を描いたり模型を作ったりするのが好き
  • 論理的に考えるのが得意(構造計算など)
  • 人と話すのが苦にならない(施主や職人との対話が多い)
  • 建物や街並みを見るのが好き
  • 常に新しいことを学び続ける意欲がある

建築士にあまり向いていないかもしれない人

  • 細かい作業が極端に苦手
  • 1人だけで黙々と作業したい(意外と人と関わる仕事です)
  • 短期間で大きな成果を出したい
  • 勉強を続けるのが苦痛

これらに当てはまっても、建築への情熱があれば乗り越えられることが多いです。あくまで「傾向」として参考にしてください。

高校生のうちにできる建築士への準備

「大学に入ってから頑張ればいい」と思っていませんか?実は高校生のうちにやっておくと、大学入学後に大きな差がつくことがいくつかあります。

建築物を見に行く

有名建築や街並みを実際に見に行くのが一番の勉強になります。

  • 身近な街の建築観察(なぜこの形なのか考える)
  • 美術館・博物館の建築見学
  • 建築の写真を撮ってスケッチしてみる
  • 有名建築家の代表作を本やネットで調べる

東京ならなら国立西洋美術館(ル・コルビュジエ設計)、京都なら桂離宮、近場なら気になる商業施設など、何でも建築の目で見る習慣をつけるといいです。

建築関連の本を読む

高校生でも読みやすい建築の入門書を読んでおくと、大学の授業がスムーズに理解できます。

  • 『建築家になりたい君へ』など建築家の自伝・エッセイ
  • 図解の多い建築入門書
  • 有名建築家の作品集
  • 建築雑誌『新建築』『住宅特集』などをぱらぱら見るだけでもOK

スケッチや図面を描いてみる

建築学科に入ると、いきなり製図やスケッチの授業が始まります。絵を描く習慣のある人とない人で、最初の半年は明確に差がつきます

絵が下手でも大丈夫。数をこなせば必ず上達します。身の回りのものを観察してスケッチする練習を始めてみてください。

大学のオープンキャンパスに行く

気になる大学のオープンキャンパスには必ず行きましょう。大学のキャンパス・建築学科の雰囲気・先生の話し方を実際に体験することで、自分に合うかどうかがわかります。

可能なら複数の大学を比較してみてください。建築学科の学生作品(模型・図面)を見るのも勉強になります。

建築士になった後のキャリアの広がり

建築士の資格を取ると、こんな仕事ができるようになります。

  • 設計事務所:意匠・構造・設備の設計、工事監理
  • ゼネコン(大手建設会社):大規模建築物の設計・施工管理
  • ハウスメーカー・工務店:住宅の設計・営業
  • 不動産デベロッパー:マンション・商業施設の企画・開発
  • 公務員:都道府県・市町村の建築指導課、建築確認業務
  • 独立開業:自分の設計事務所を持つ

世代別の年収やキャリア形成については、年収はどれくらい?20代~30代の建築士キャリアと収入の現実でも詳しく解説していますので、興味があれば参考にしてください。

よくある質問(FAQ)

Q. 数学が苦手ですが、建築士になれますか?

A. なれます。ただし、大学入学後の構造力学・建築設備で必ず数学を使うので、苦手意識は少しずつでも克服しておくと楽です。「数学が嫌いすぎて見るのも嫌」という場合は、建築士の道は厳しいかもしれません。

Q. 美大の建築学科と工学部の建築学科、どっちがいい?

A. 将来やりたい仕事で選びましょう。意匠設計(デザイン)中心なら美大系構造・施工・大規模建築なら工学部系が向いています。どちらも建築士の受験資格は取得できます。

Q. 工業高校の建築科に進むのはアリですか?

A. アリです。卒業後すぐに二級建築士の受験資格が得られるのが大きなメリット。ただし、一級建築士を目指す場合は実務経験を積みながら試験勉強する必要があり、大学進学に比べると時間がかかります。

Q. 偏差値が高い大学のほうが建築士になりやすいですか?

A. 必ずしもそうではありません。合格者数ランキングを見ると、偏差値が中位の日本大学が連続トップを取っています。大学全体の指導体制と、本人の努力のほうが影響大です。

Q. 建築士と建築家、何が違うんですか?

A. 「建築士」は国家資格で、「建築家」は職業の呼称です。詳しくは建築家になるには?小学生・中学生の勉強法は?で解説していますので、興味があれば読んでみてください。

Q. 女性でも建築士になれますか?

A. もちろんなれます。令和5年度の一級建築士試験合格者の女性比率は30.8%で、年々増加傾向にあります。住宅設計の世界では女性建築士の需要も高いです。

Q. 大学院には行ったほうがいいですか?

A. 大手組織設計事務所・ゼネコン設計部・大学教員を目指すなら大学院進学が望ましいです。実務系の仕事(工務店・住宅設計など)なら学部卒で十分です。

まとめ|高校生から建築士への第一歩

最後に、この記事のポイントをまとめます。

  • 高校生から建築士を目指す王道は4年制大学の建築学科に進学
  • 2020年法改正で大学卒業後すぐに一級建築士試験を受験可能
  • 文系・理系なら理系のほうが圧倒的に有利(数学・物理が必須)
  • 大学選びは合格者数・偏差値・カリキュラム特色の3軸でチェック
  • 高校生のうちから建築物を見る・本を読む・スケッチする習慣を

建築士は、自分が設計した建物が街に何十年も残る、本当にやりがいのある仕事です。高校生のあなたが今から正しい進路を選べば、20代で一級建築士になることも十分可能です。

建築士を目指す全体像については、建築士になるには?【2026年最新】受験資格・最短ルート・難易度を建築士が解説でもまとめていますので、こちらも併せて読んでみてください。

あなたの進路選択を心から応援しています。建築の世界で会えるのを楽しみにしています!

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