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一級建築士の建築史を一発で覚える簡単な暗記法!過去問題も

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一級建築士の一次試験(学科試験)の中で苦手な人が多いと言われているのが計画の「建築史」です。

色んな時代の色んな人が建てた色んな建物を覚えなくてはなりません。

本試験では紛らわしい問題が出てきますから、建物が建てられた順番や関連する人や出来事等をきちんと覚えなければならないんです。

今回は建築史を覚える上でまずはじめにすべきことをまとめました。

一級建築士試験における建築史の出題範囲や問題数は?

一級建築士試験の一次試験(学科試験)の計画では、建築史の出題が例年2問出ます。

全体に対するウエイトは大きくありませんが、

試験開始後のしょっぱなであることから、

建築史で正解して勢いを付けたいところです。

ですから、ぜひとも覚えて不安をなくしてしまいたいですよね。

また、出題範囲は古代から現代と非常に広範囲ですし、海外と日本国内の両方の建築史を覚える必要があります。

まともに1から覚えようとするとけっこうきついものがありますよね。

一級建築士試験の建築史野簡単な暗記法!

一級建築士試験の建築史をマスターするためには最初にやることがあります。

これをやると覚える労力が極端に小さくて済むはずです。

最初に覚えることは、

日本建築史の時代と建築物・様式を順番通り覚えることです。

覚え方はその名もズバリ

「頭文字暗記法」

です。

読んで字のごとくです。

語呂合わせでもなんでもありません。

単に頭文字を順番に読んで覚えるんです。

さっそくやっていきましょう。

日本建築史の覚え方

時代 頭文字 建築物 様式 備考
古代
(い)
伊勢神宮内宮正殿 神明造り 平入り、棟持柱、千木、鰹木

(で)
出雲大社本殿 大社造り 妻入り、非対称の入り口
飛鳥
(ほう)
法隆寺西院   雲形組物
奈良
(やく)
薬師寺東塔   三重塔、裳階(もこし)

(とう)
唐招提寺金堂   単層寄棟屋根、三手先組物
平安
(とう)
東三条殿(復元) 寝殿造り 中門廊、渡殿、釣殿
鎌倉
(とう)
東大寺南大門 大仏様(天竺様) 貫(ぬき)を多用、挿肘木

(じょう)
浄土寺浄土堂 大仏様(天竺様) 貫(ぬき)を多用、挿肘木

(えん)
円覚寺舎利殿 禅宗様(唐様) 海老虹梁、火灯窓
室町 鹿
(ろく)
鹿苑寺舎利殿(金閣) 庭園重層建築 1F住宅風、2F和様、3F唐様(禅宗様)

(じ)
慈照寺観音堂(銀閣) 庭園重層建築 1F書院造り、2F唐様(禅宗様)

(じ)
慈照寺東求堂・同仁斎 書院茶室 最古の茶室、四畳半、付書院、違い棚
桃山
(ひめ)
姫路城   城郭建築

(に)
二条城二の丸御殿 書院造り 大広間、黒書院、白書院

(えん)
園城寺光浄院客殿 書院造り 武家住宅様式、押板床、付書院、違い棚

(みょう)
妙喜庵待庵 草庵茶室 千利休、2畳茶室、室床

(こ)
孤篷庵忘筌 書院茶室 小堀遠州

(じょ)
如庵 草庵茶室 織田有楽斎、2畳茶室、畳床
江戸
(けい)
桂離宮 数寄屋造り 回遊式庭園、書院郡、庭園の茶屋

(じつ)
日光東照宮社殿 権現造り 霊廟建築、石の間

まず覚えるのはこの表の「時代」「頭文字」のところです。

年代は、
「古代飛鳥、奈良平安、鎌倉室町、桃山江戸」
(こだいあすかならへいあん、かまくらむろまち、ももやまえど)

とリズムよく早く何度も読みます。

頭文字は、
「伊出法、薬唐、東、東浄円、鹿慈慈、姫二園妙孤如、桂日」
(いでほう、やくとう、とう、とうじょうえん、ろくじじ、ひめにえん、みょうこじょ、けいじつ)

です。

ところどころ区切っているのは、「時代」と対応させやすいようにです。

細かいところは後でいいです。

まだ覚えないほうがいいくらいです。

まずは必ずこの頭文字暗記法をやりましょう。

世界建築史の覚え方

世界の建築史も日本と同じように覚えます。

時代 頭文字1 建築物 頭文字2 様式 備考
古代 パルテノン神殿 古代ギリシャ オーダー(ドリス式)
パンテオン 古代ローマ 大ドーム(コンクリート造)
中世 ハギア・ソフィア ビザンチン ペンデンティブドーム
アルハンブラ宮殿 イスラム 中庭、アーケード、塔
ピサ大聖堂 ロマネスク 交叉ヴォールト、鐘楼(ピサの斜塔)
パリ(ノートルダム)大聖堂 ゴシック 尖頭アーチ、フライングバットレス、バラ窓
近世 フィレンツェ大聖堂 ルネサンス ブルネルスキのドーム
サン・ピエトロ大聖堂 ルバ ルネサンス・バロック ミケランジェロ、ベルニーニ
ヴェルサイユ宮殿 バロック ダイナミックな空間
エトワール凱旋門 ネオクラシシズム 古代ギリシャ・ローマのリバイバル
イギリス国会議事堂 ネオゴシック ゴシックのリバイバル

「頭文字1」と「頭文字2」を暗記します。

頭文字1(建築物)
「パパはアピパ、フサヴエイ」
ハギア・ソフィアは「は」と平仮名にするほうが読みやすいです。

頭文字2(様式)
「ギロビイロゴ、ルルババネネ」
サン・ピエトロ大聖堂はルネサンスとバロックの間なので「ルバ」です。

このようにして頭文字を暗記することで、

それぞれの時代と建築物の関係や順番を簡単に覚える事ができますから、

間違えようがなくなります。

一級建築士試験の建築史に関する過去問題

一級建築士試験の計画で建築史が出た過去問を見てみましょう。

平成22年(2010年)
問3 「時代・様式」と「建築物(建築家)」の組み合わせで、誤っているものを選べ。

  1. ルネサンス建築
     →フィレンツェ大聖堂の大ドーム(フィリッポ・ブルネルスキ)
  2. バロック建築
     →バシリカパラディアーナ(アンドレア・パラーディオ)
  3. アール・ヌーヴォー
     →タッセル邸(ヴィクトル・オルタ)
  4. 国際様式
     →レイクショアドライブ・アパートメント(ミース・ファン・デル・ローエ)

 
このように出題されます。

頭文字暗記法で暗記していると、

1.のフィレンツェ大聖堂はルネサンス建築で正しい記述だと分かります。
2.3.4.は表内にないので、この問の場合はズバリ正解は分かりませんが、3枝に絞ることができますね。

正解は2.です。
バシリカパラディアーナは北イタリアのルネサンス後期の建築物なので、バロック建築とするこの枝は間違いですよね。

実は西洋建築史には続きがあるんです。

ついでなので、覚えてしまいましょう。

上の表の「ギロロゴルルババネネ」(様式)

の赤い太字で示したビ(ビザンチン)・ロ(ロマネスク)・ゴ(ゴシック)・ル(ルネサンス)を抜き出してみます。

ビザンチン建築の建築物
サン・マルコ大聖堂

ロマネスク建築の建築物
ダラム大聖堂
ヴォルムス大聖堂

ゴシック建築の建築物
シャルル大聖堂
ランス大聖堂
アミアン大聖堂
ケルン大聖堂
ミラノ大聖堂

ルネサンス建築の建築物
バシリカ・パラディアーナ

これらを頭文字暗記法で覚えます。

頭文字1 様式 頭文字2 建築物
ビザンチン サン・マルコ大聖堂
ロマネスク ダラム大聖堂
ロマネスク ヴォ ヴォルムス大聖堂
ゴシック シャ シャルル大聖堂
ゴシック ランス大聖堂
ゴシック アミアン大聖堂
ゴシック ケルン大聖堂
ゴシック ミラノ大聖堂
ルネサンス バカ バシリカ・パラディアーナ

覚えかた
ビロロゴ~~~~ル(←ゴ×5回)
サダヴォ シャラ明美バカ
(全国の明美さんゴメンナサイ)

確実に覚えておきましょう。


以上、今回は

  • 一級建築士試験における建築史の出題範囲や問題数は?
  • 建築史の簡単な暗記法
  • 建築史の過去問題

という内容でお送り致しました。

暗記モノは単に詰め込むのではなく、ちょっと工夫して効率よく覚えられるようにする必要があります。

今後も効果絶大な勉強方法をどんどんアップしていきます。

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