一級建築士製図試験は6時間30分で図面と記述を仕上げるハードな試験です。
6時間30分もあるんだから時間はたっぷりあると思われがちですが、実際には多くの受験生にとって時間が足りないのが現状です。
1分も無駄にできません。
試験中は常に焦っていて頭がフル回転している状態ですから、最後の見直しが終わって試験終了の合図がかかった時には一気に力が抜けてその場に倒れてしまう人もいる程です。
1割り程度の人は図面が完成せずに試験終了となってしまいます。
学科試験を突破して2ヶ月余(2年目・3年目の方は1年間)必死に勉強してきたのですから、絶対に完成させたいですよね。
そこで今回は一級建築士製図試験2017で図面を早く書くコツや道具、フリーハンドの有効性について紹介します。
一級建築士製図試験の早く書くコツや道具は?
一級建築士製図試験の6時間30分という試験時間の間に図面と記述を完成させるために早く書くコツと道具について見ていきましょう。
一級建築士製図試験の早く書くコツ
一級建築士製図試験で図面を早く書くコツは以下のとおりです。
- エスキスを早くまとめる
- 補助線を省略する
- 文字を小さく書く
では詳しく見ていきます。
エスキスを早くまとめる方法
エスキスとは、設計図を作る際に出入り口や部屋の配置等を検討する段階で描くスケッチやラフ図面のことです。
エスキースともいいます。
一級建築士製図試験で速く書くためには、エスキスを早くまとめる必要がありますので、その方法を解説します。
一級建築士製図試験は、A3縦の問題用紙に書かれた細かな設計条件を読み、条件を満足させる図面を作るためにエスキスをします。
製図試験は、
①エスキス
②記述
③作図
④見直し(チェック)
の順番で進めていきます。
作図の前に「記述」を書くのは、作図に時間を掛け過ぎて記述が未完成に終わるのを防ぐためです。
記述が未完成だと無条件で不合格になりますから、超重要だと考えてください。
なので、必ずこの順番で進めていきましょう。
以下の表はエスキス・記述・作図・見直しの時間配分です。
エスキス | 2時間 |
記述 | 1時間10分 |
作図 | 3時間 |
見直し(チェック) | 20分 |
合計 | 6時間30分 |
エスキスが2時間以内にまとまらないとその時点でアウトと言っても過言ではないです。
ところが多くの受験生が「エスキスが2時間以内にまとまらない」と悩んでいます。
ただ、中には1時間30分でまとまる人もいます。
エスキスが早くまとまる人はどうやってエスキスしているんでしょうか?
実はエスキスを早くまとめるためのコツがあるんです。
それは、「良いプランを作ろうとしない」ということです。
エスキスで時間がかかってしまう人はほぼ全員が無意識に「良いプラン」を作ろうとしているのです。
「良いプラン」というのは課題文に忠実で完璧な図面のことです。
一級建築士製図試験の課題文は、2時間では完璧なプランが出来ないように作られています。
わざとそういうふうに作っているんですよ。
ですから、最初から「良いプラン」を作ろうとしてはダメだということです。
どんな受験生でも、エスキスを進めるうちに自分でボツにするプランがいくつか出来ますよね。
実は合格するプランはそのボツにしたプランの中にあるんです。
つまり、プランの良し悪しはほとんど関係ないということですよ。
もちろん重大な欠落や図面相互の不適合は致命的ですが、部屋の大きさがちょっと小さいとか、部屋へのアクセスに難があっても対して大きな減点にならないことが多いんです。
ここは資格予備校の考えとは違うところですが、現に「なんであんなプランで受かったんだろう」という合格者が毎年多発しています。
エスキスに時間がかかりすぎて作図時間が短くなり、結果として図面が汚くなってしまう方がリスクが高いんです。
重要なのはプランよりも面積表や設備・構造の条件をしっかり満たすことです。
構造は鉄筋コンクリート造で問題ないので、気をつけ無くてはならないのは
面積と設備
です。
面積と設備さえきちんと出来ていればプランは二の次で良いです。
ダメプランで勝負しましょう。
エスキスを早く終わらせて、図面を綺麗に完成させたほうが合格に近づきます。
きっとうまくいきますよ。
図面を書く練習は大事
エスキスを2時間で終わらせれば、作図に3時間かけることが出来ます。
3時間で図面を完成させれば良いのです。
しかし3時間てけっこうキツイのが現状ですよね。
3時間30分あれば書けるのに!という方が多いです。
4時間かかってしまうという方はまだ練習が足りないので、同じ課題を何度も何度も書いてください。
そうすれば自然と3時間30分くらいにはなります。
練習したくないという人は受かりませんので諦めましょう。
とにかく練習は大事なんです。
練習したいけど時間がないという方もいますが、何とか時間を作るように頑張ってください。
準備や片づけも含めて4時間まとまった時間を確保するのって大変ですが、合格者の方々はみんなうまくまとまった時間を作っています。
睡眠時間をズラすなど工夫していきましょう。
一級建築士製図試験の作図で補助線を省略する方法
一級建築士製図試験の作図ではほとんどの方が最初に補助線を引いています。
補助線とは柱のスパン間隔(例えば7m×6m、7m×7mなど)に引く薄い線です。
補助線があると柱を書きやすいですが、補助線を書く時間がかかるし碁盤の目のように薄く線が引かれるため図面が少し汚くなるというデメリットがあります。
では補助線なしで柱を書くことが出来ればそのほうが良いですよね。
ここでは補助線なしで柱を書く方法を紹介致します。
まず用意する道具があります。
それはVANCOテンプレートプラスという三角定規とテンプレートが一体化した道具です。
具体的な方法は以下のとおりです。
※柱は4の大きさを使用します。
↑7mスパンの場合
VANCOテンプレートプラスの写真の位置(22の右側の2の部分)に基準となる柱の中心を合わせます。
そして4の大きさの枠に柱を書きます。
↑6mスパンの場合
6mスパンの場合は1.5の大きさの枠の右側の横棒の真ん中あたりを基準となる柱の中心に合わせます。
そして4の大きさの枠に柱を書きます。
以上は横の書き方ですが、縦の場合はテンプレートプラスを縦に使って書きます。
慣れてしまえば簡単ですから是非習得してください。
格段に作図時間を短縮できますよ。
補助線を省略することで早く柱を書き始めることができますから、その後の作図も波に乗ってトータル的にも早く書けるようになっていきます。
あとは練習あるのみ。
階段は、作図用紙1枚を全部階段で埋めてしまうようにして集中的に練習すると効率が良いです。
また、断面図も断面図だけを10連続で書くなどして高さ関係の寸法を覚えてしまいましょう。
一級建築士製図試験で文字を小さく書く方法
一級建築士製図試験では文字を小さく書く方が良いです。
文字を小さく書くとシャープペンを滑らせる距離が短くなり結果的に早く書くことができます。
また、文字が小さい方が出来上がった図面が格段に綺麗に見えます。
実務上でも図面には情報量を多く入れるために文字は小さく記入しますよね。
具体的には以下のように書きます。
寸法の場合は真ん中に集めて小さく書きます。
ゼロはくっつけるとより早く書けます。
寸法だけでなく室名や面積なども全て小さい文字で書きましょう。
文字の大きさだけでも格段にスピードは早くなりますので是非取り入れてみてください。
一級建築士製図試験2017はフリーハンドは有効?
一級建築士製図試験はフリーハンドで書いても良いことになっています。
実際に課題文の作図条件のところにも「フリーハンドでも可」と書いてあります。
では、フリーハンドは有効なんでしょうか?
誤解を恐れずに言えば答えはNOです。
「図面が早く書けないからフリーハンドで書く」という受験生がいらっしゃいますが、それではフリーハンドで書いても早く書けません。
早く書けないどころか、図面が汚くなってしまい不利になります。
フリーハンドで書く方は全体の5%以下だと言われています。
フリーハンドで合格される方の多くはフリーハンドで書くことに慣れていて、製図板を使うよりも綺麗に書ける方です。
ですから、書くスピードを考慮してフリーハンドを検討している方はやめたほうが良いです。
製図板で書くことを押し通してください。
練習すれば必ず早く書くことが出来ますから、とにかく練習しましょう。
参考にしてたくさん練習し、ぜひ合格を勝ち取ってください。
この記事を読んだら必ず今よりも速く描けるようになります!
そのぶん落ち着いてエスキスをおこなって、記述にも時間を割いてくださいね。
▶ 一級建築士製図試験の時間配分や短縮方法は?階段の早い書き方や練習のコツも
最後まで読んでいただきありがとうございました。