建築基準法の解説では「無窓居室」が数多く出てきますが、一級建築士試験に出題される無窓居室は3つに絞ることができます。
また、無窓といっても全く窓がない部屋ではなく、「防火関連の条件を満たす開口部を有しない居室」のことを無窓居室と呼のです。
今回は法令集のどこに載っているのかを把握できるようにしましょう。
無窓居室の種類
一級建築士試験に出題される無窓居室は3種類あります。
(1)防火上の無窓居室
(2)内装制限上の無窓居室
(3)避難上の無窓居室
です。
これだけあるんですね。
法令集を見ていると何度も出てくるので、だんだんワケが分からなくなりますよね。
しかし今日からはどこにどの無窓居室が載っているかを把握出来ますから、心配いりませんよ。
防火上の無窓居室
防火上の無窓居室は主に「防火区画等」のところで出てきます。
載っている条項
法35条の3→令111条
法35条を引いて、即座に令111条を引けるように練習しましょう。
必要な措置
防火上の無窓居室はその居室を区画する主要構造部を耐火構造とするか不燃材料で作らなければなりません。
例えば、百貨店の売り場で所定の開口部を有しないものは、売り場を区画する主要構造部を耐火構造とするか、不燃材料で作らなければならないのです。
ただし、別表1(い)欄の「劇場」「映画館」等はその必要はありません。
どんな部屋?
防火上の無窓居室とは、次のいずれの窓も有しない居室のことです。
(1)採光有効面積が居室の床面積の1/20以上ある窓
(2)直径1mの円が内接できる窓または1.2m以上×75cm以上の窓
※2室採光はOKです。(2室採光とは、ふすまや障子で仕切られた2室は1室とみなすことです。)
内装制限上の無窓居室
内装制限上の無窓居室は文字通り「内装制限」のところで出てきます。
内装制限とどんな関係があるのかというと、
「無窓居室は内装制限を受ける」
ということです。
載っている条項
令128条の3の2
法令集にタグ貼りをすると思いますが、デフォルトの「内装制限」タグのすぐ前のページだと思います。
確認してみてください。
どんな部屋?
内装制限上の無窓居室は、以下のいずれかに当てはまる部屋です。
(1)床面積が50平方メートルを超える居室で、開放できる開口部(天井から50cm以内にある部分)の面積が床面積の1/50未満のもの。
(2)温湿度調整を必要とする作業をする部屋で、それぞれの用途に必要な採光有効面積が確保できないもの。
必要な措置
内装制限上の無窓居室は、室内に面する全ての天井と壁を準不燃材料以上で仕上げなければなりません。
ただし、天井高が6mを超える部屋は内装制限を受けません。
避難上の無窓居室
避難上の無窓居室はちょっとやっかいです。
ですが、覚えてしまえば難しくはないので安心してください。
まず、避難上の無窓居室は2つあると覚えてください。
採光無窓と排煙無窓です。
この2種類の無窓居室それぞれに必要な設備があります。
載っている条項
第5章「避難設備等」第2節、第3節、第4節、第6節
目立つ手作りのタグで第5章「避難設備等」を括ると分かりやすいですよ。
避難設備等は第1節から第6節まであり、第2節、第3節、第4節、第6節に無窓居室が出てきます。
第2節 廊下、避難階段、出入り口
採光無窓居室のある階に適用になります。
第3節 排煙設備
排煙無窓居室には排煙設備を設置しなければなりません。
第4節 非常用の照明装置
採光無窓居室には非常用の照明設備を設置しなければなりません。
第6節 敷地内の避難上、消火上必要な通路等
採光無窓居室と排煙無窓居室のいずれかを有する建築物には敷地内の避難上、消火上必要な通路等を設けなければなりません。
具体的には幅員1.5m以上の通路を設けなければなりません。
どんな部屋?
採光無窓居室
採光有効面積が居室の床面積の1/20以上ない居室
排煙無窓居室
天井または天井から下方80cm以内にある開口部で、開放できる面積の合計が、床面積の1/50以上ない居室
※2室採光はOKです。
以上、今回は無窓居室についてでした。
実務上はもっと細かな無窓の居室が出てくるようですが、一級建築士の試験ではこの範囲を抑えておけば大丈夫です。
では、法令集をたくさん引いて慣れていきましょう。