北側斜線制限の用途地域がまたがる場合の計算方法は?緩和措置や北側道路の場合も
一級建築士学科試験「法規」では、高さ制限に関する出題が毎年必ずあります。
今回は北側斜線についてみてみましょう。
北側斜線制限は複数の用途地域にまたがる場合があり、その場合の計算方法の問題が過去に出題されています。
今後も同じようなことが問われる可能性が高いので確認しておくと良いです。
緩和措置についても「この場合はこうなる」っていうことを押さえておくようにしたいですね。
また、道路斜線制限など他の斜線制限と被った場合はどうなるのかにも触れています。
1.北側斜線制限の概要
北側斜線制限とは、北側の土地の日当たりを確保するための建物の高さ制限です。
建物の高さを、北側の隣地境界線から用途地域に応じて5mまたは10m+1.25勾配の斜線以内にする必要があります。
つまり、北側斜線制限における建物の最大高さは以下のいずれかの式で計算されるんです。
- 5m+1.25L
- 10m+1.25L
※Lは北側隣地境界線からの距離
※北側に道路がある場合は道路の反対側の境界線が適用されます
北側斜線制限が適用される用途地域は以下のとおりです。
用途地域 | 北側斜線制限の式 |
---|---|
第一種低層住居専用地域 | 5m+1.25L |
第二種低層住居専用地域 | |
第一種中高層住居専用地域 | 10m+1.25L |
第一種中高層住居専用地域 |
ただし、第一種中高層住居専用地域と第二種中高層住居専用地域で日影規制の適用がある地域には北側斜線制限は適用されない点に注意が必要です。
上記4地域以外の用途地域には北側斜線制限はありません。
道路斜線制限と隣地斜線制限では、屋上部分を一部高さに不算入とすることができるんですが、北側斜線制限の場合は屋上部分にあるペントハウスなどは全て参入するので気をつけましょう。
※棟飾り・防火戸は不算入でOK
(1)第一種低層住居専用地域
(2)第二種低層住居専用地域
(3)第一種中高層住居専用地域
(4)第一種中高層住居専用地域
(5)第一種住居地域
(6)第二種住居地域
(7)準住居地域
(8)近隣商業地域
(9)商業地域
(10)準工業地域
(11)工業地域
(12)工業専用地域
2.北側斜線制限の用途地域がまたがる場合の計算方法
土地は風数の用途地域にまたがる場合があります。
その時、北側斜線制限はどのように計算するんでしょうか?
- 北側斜線制限
- 道路斜線制限
- 隣地斜線制限
においては、建物が複数の地域にまたがる場合、一つの建物であってもそれぞれの用途地域の規定をあてはめます。
つまり建物の部分によって最大高さ限度が異なるんですね。
下図は第一種低層住居専用地域と第一種中高層住居専用地域にまたがる場合です。
↓A点が第一種低層住居専用地域でB点が第一種中高層住居専用地域に位置している
容積率や建蔽率の計算では、複数の用途地域にまたがる場合は加重平均によって計算しますが、高さ制限に関しては部分部分で明確に分けて適用するということに注意ですね。
3.北側斜線制限の緩和措置は?
北側斜線制限の緩和措置の規定には、
- 北側に水面等があるv場合
- 隣地の地盤面より低い場合
があります。
①北側に水面等がある場合
北側の土地との間に、川や池などがある場合は北側斜線制限が緩和されます。
北側に接する水面の中心線の位置にあるものとみなされるんです。
例えば、北側に幅3mの川がある場合、北側の隣地共済線は、1.5m北側に後退した位置にあるとみなされるわけですね。
北側に道路があって、その向こうに革がある場合も、川の中心線まで後退させます。
↓北側に道路を挟んで水面がある場合
注意点は、公園や広場は対象外だということです。
川や池の中では人が休憩したりしないので日当たりがそこまで確保されなくても良いですが、公園や広場では人がくつろいだり日向ぼっこしたりするから日当たりを確保するのが望ましいという考え方ですね。
②隣地の地盤面より低い場合
北側に隣接している土地よりも低い土地は、建物の高さを単純に自分の土地の地盤面から規制されては非常に不利になります。
そのための緩和規定があるんです。
敷地が北側の土地よりも1m以上低い場合は、高低差から1mを引いた高さの1/2だけ高い位置にあるものとみなされます。
そうすると、例えば北側の土地より2m低い土地の場合、
(2m-1m)✕0.5=50cm
50cm土地が高い位置にあるとみなされるので、最高高さ限度も50cm高くなるわけです。
4.北側に道路がある場合はどうなる?
北側に道路がある場合は、道路の反対側の境界線からの距離が適用されますが、道路斜線制限と規定が被ることになりますね。
そういう場合は、道路斜線制限と北側斜線制限を両方計算し、厳しい方を採用するんです。
どちらが優先ということはないので注意しましょう。
一級建築士学科試験では、北側斜線制限に関する問題において、真北方向に垂直の境界線が出題されます。
しかし、実務においては真北に垂直な北側隣地境界線てほぼありません。
斜めなわけです。
斜めの場合は、真北からの角度を考慮して対角線を距離(L)とする必要があります。
不動産の売買においては重要事項説明書に記載する必要があるので覚えておくようにしましょう。